2006-01-01から1年間の記事一覧

鐘の音と魂の耕作

ひょんなことから「往く年来る年」という番組を見ることになりました。低く伸びやかな鐘の音、遠くで響くように呻かれるお経、そしてその画面を見つめる人びとの、どことなくうきうきとして、それでいながらなにか敬虔なところのある雰囲気を感じながら、い…

pikarrrさんに答えて

「まなざしの快楽」のid:pikarrrさんからトラックバックをいただきました。 http://d.hatena.ne.jp/pikarrr/20061230 三回にわたって部分的にアップしてきた文章についてのコメントです。 「痕跡とプログラム」 http://d.hatena.ne.jp/voleurknkn/20061222 …

デリダとスティグレール

フランスの思想家ベルナール・スティグレールの哲学のひとつのエッセンス(だと個人的に思えるもの)について文章を、二回に分けてアップしてきました。 「痕跡とプログラム」 http://d.hatena.ne.jp/voleurknkn/20061222 「プログラムとリズム」 http://d.h…

プログラムとリズム

前回アップしたスティグレールの技術哲学に関する文章は、残念ながら稲葉氏のリアクションは(さすがに)もらえませんでしたが、幸いにもpikarrrさまというたいへん聡明な方に読んでいただくことができ、その続きの部分も読んでいただけるようですのでアップ…

痕跡とプログラム

『インターコミュニケーション』という雑誌の50号と51号に載っていた稲葉振一郎氏の「公共社会の基本的枠組み」という文章を読みました。50号でなされているのは主にリベラリストとコミュニタリアンの対立の稲葉氏流の整理で、「へえ、なるほどねえ」…

シリーズ第二回「右翼と左翼」

浅羽通明の『右翼と左翼』をちらっと立ち読みしました。 ということで、たまには真面目なことを考えてみるシリーズ第二回のお題は「右翼と左翼」です。 ちなみに第一回はこれ↓ http://d.hatena.ne.jp/voleurknkn/20061019 「歩き煙草を考える」 右翼と左翼と…

ハムレットの饒舌

デリダの『マルクスの亡霊』の英訳を読んでいて気付きました。 シェイクスピアの『ハムレット』の有名なセリフに、"To be, or not to be : that is the question”というのがあります。「生きるべきか死ぬべきか、それが問題だ」とか「あるべきかあらざるべき…

デラシヌマン

ポッドキャスティングで、TBSラジオの「文化系トークラジオLIFE」とかいうのを聴いていたのでした。 http://www.tbsradio.jp/life/ 10月28日配信の回は、「after95」と題して95年以後というテーマについていろいろ語られています。部分的に聴いただけなの…

技術論の話し

はてなでは人文系のトピックについて、なんやかやと思ったことを書くというのをメインにしようかとふと思い立つ。ときおりバカな文章を挟みつつ。学校のゼミで「テクノロジー」という言葉について話題になり、さらにアルフレッド・エスピナスという名前が出…

仁義なきケータイ戦争

ついに始まりました、携帯電話の番号ボータビリティー制度。携帯の会社を変えても番号が変わらないと言うやつですね。当然ながら僕はすっかり浮き足立ってしまって、ついにはわけが分からなくなって一日十回もメッカに向かって礼拝しているわけですが、それ…

シリーズ第一回「歩き煙草」

たまにはまじめなことを考えてみるシリーズ 切込隊長氏のブログで以前、小谷野敦と嫌煙ファシズムとワイネフ氏とミクシーとうんぬんかんぬんという話を読んだのでした。 http://column.chbox.jp/home/kiri/archives/blog/main/2006/10/11_062412.html そうい…

 思い出し笑いの形而上学

帰りの丸ノ内線。平日の夜は座れないので立っていたのですが、目の前に座っていた女の人がどうも気になる。というのも、それとなく手で口元を隠しながら、どうやら繰り返し思い出し笑いをしているようなのです。何を思い出してるんだろうと気になるわけです…

プラグマティックな回路

書きたい候補が三つあって、帰り道にすこし悩みました。その三つはそれぞれ、「ちょっと下ネタ」、「よくできたネタ」、「まじめな話」というジャンルに大まかには分けられると思います。が、まずは下ネタ自粛令がまだ有効なので一つ消える。残る二つの選択…

[倫理] 子猫殺しの常識

もはや「旧聞に属する」というやつですが。作家の坂東眞砂子氏が新聞紙上で子猫殺しを告白、というのをきっこの日記が批判的にとりあげ、それが発端になったのかどうかはわかりませんが、雑誌などでも取り上げられたし、当然ながらブログでも多く言及されて…

[与太話] 丸の内ソープ・オペラ

学校からの帰り、いつもより早かったせいか席がすこし空いていたので座ったのでした。で、本を読み始めたのですが、そのうちにハッとしました。匂うんです。何の匂いかって、そりゃきまってます、風俗の匂いです。池袋の新文芸座に行く時にだけ仕方なく通る…

スローライフ

初めて見ました。なにがって、「十秒チャージ」ですよ。丸ノ内線の電車のなか、向かい側に座っていた青年がウィダーインゼリーを取り出しておもむろに始めたんです。へこんだ両頬がヴァキュームフ○ラっぽく見えたなんて感想は口が裂けても人にはいえないです…

手術台の哀川翔と亀田くん

最強のチャンピオン亀田興毅くんについて好意的な文章を書いたとかで、モーグルの上村愛子だとかTBSのアナウンサーだとかなんやかやの人のブログが炎上しているみたいですね。 で、ある記事で、哀川翔が亀田くんに対して好意的なコメントを出しているのを読…

パース対やくざ

今日はアメリカの記号論者チャールズ・サンダース・パースと、日本のヤクザとの異種格闘技の経緯と結末について報告しようと思っているのですが、そのためにはまずフランスのコミュニケーション学者であるダニエル・ブーニューという固有名詞から出発しなけ…

終わりの始まりは・・・

このところ、図書館閉館のときの音楽が頭の中でリフレインしてます。十時二十分になると流れはじめるその音楽は、最初は軽妙なピアノソロなのですが、そのうちに重厚なオーケストラになって、早く帰らなきゃとどうしても焦ってしまう、よくできたエンディン…

東武戦線異状なし

帰りの東武東上線で、久方ぶりに見ました。 黒々としたバーコードヘアー。 いやー見事でした。 それでちょっと考えました。バーコードヘアーには何のためになされるのか。とりあえず一つだけ明らかなのは「隠す」ためではないと言うことでしょう。だって、ね…

記憶術のおもひで

記憶術というものが、もともとはレトリックの一つのパートとして生まれたということは昔に読んだ佐藤信一郎の『レトリックの消息』に書いてあったから知っていました。ちなみにレトリックというのは日本語でいう修辞というニュアンスがもつ意味よりもはるか…

恩寵団地

うちの近所の団地では大規模な建て替えが済んだばかりで、このところ猛烈な引っ越しラッシュが始まっており、そこら中にさまざまな種類のゴミが捨てられまくっていて独特の風情を醸し出しています。僕は駅に行く途上でその団地のまっただ中を通っていくので…

口パクですが何か問題でも?

みんなのアイドル、NEWSのやまピーこと山下智久が、先日のニュースステーションで粗相をしたらしいです。 「抱いてセニョリータ」とかいう情熱的なタイトルの歌を、例のジャニーズバックダンサーに囲まれて熱唱していたときに、踊っていた手がぶつかってマイ…

ニワトリと卵

http://news.goo.ne.jp/news/jiji/science/20060526/060525234233.htfd73wq.html 「ニワトリが先か卵が先か」という古典的な問いがありますが、このニュースによると「卵が先」ということで結論が出たらしいです。その論理については記事を読んでもらうとし…

右翼と左翼

昨日の日記で触れた雑誌VOL。そこに載ってたフランソワ・ズーラビクヴィリという難解な名前の人が書いていた文章の中に次のような一節がありました。 「潜在的なもの、これを否定するのが右翼であり、これを計画として表象することで変質させてしまうのが左…

VOLの悪口とか

一昨日に引き続き、図書館で勉強する合間に気晴らしとして松本健一の『大川周明』を読みました。この人は、東京裁判の真っ最中にいきなり前に座っていた東条英機のハゲ頭をひっぱたいて連れ出されて、頭がおかしくなったと診断された人で、ドキュメンタリー…

始球式とHG

ボクの重要な情報源の一つ、キオスクに下がっている夕刊の宣伝に次のようなことが書いてありました。 「HG、オリックスに出入り禁止」 記事自体は読んでいないのでそこで何を言われてるのかはよくわかりませんが、HGというのはレイザーラモンHGというやつの…

セブンイレブン裁判

「佐藤立志のマスコミ日記」ではじめて知ったのですが、セブンイレブンのフランチャイズ店が本部を相手取って訴訟を起こしていたとのこと。 http://www4.diary.ne.jp/logdisp.cgi?user=429793&log=20060429 迂闊ながら知りませんでした。裁判自体が起こされ…

日本共産党の消滅

金曜日、学校帰りに池袋のジュンク堂に寄って新書を二冊購入したのでした。 佐々木俊尚『グーグル』 筆坂秀世『日本共産党』 梅田望夫の『ウェブ進化論』という本がベストセラーになっていますが、こちらがたぶんに「想い」のこもった挑発的な「未来の書」だ…

さっき駅のキオスクで、「小泉劇場の終焉」というような夕刊紙の煽り文句を読みました。 例の、千葉補選での民主党の勝利についてでしょう。 ただ、僕はそもそも「小泉劇場」という言葉が胡散臭くて嫌いで、その胡散臭さは「小泉劇場の終焉」という文言に現れ…