2007-02-01から1ヶ月間の記事一覧

ベルナール・スティグレール『技術と時間1 エピメテウスの過ち』その一

● 前口上 とある事情があり、ベルナール・スティグレールの『技術と時間』を詳細に読み直す必要が出ました。ということで、『技術と時間』を読みながらそれについてコメントをつけていくことにします。まずは第一巻。まだ邦訳がないので、それなりに情報的価…

山本哲士『場所環境の意志ー地球環境設計へむけて』

場所環境の意志―地球環境設計へむけて作者: 山本哲士出版社/メーカー: 新曜社発売日: 1997/09メディア: 単行本 クリック: 5回この商品を含むブログ (3件) を見る怪著というべきか奇著というべきか。とにかく、独自の用語法を駆使して展開されていく山本氏の…

長崎浩『技術は地球を救えるか』

技術は地球を救えるか 環境問題とテクノロジー [ 長崎浩 ]ジャンル: 本・雑誌・コミック > 科学・医学・技術 > 工学 > 建設工学ショップ: 楽天ブックス価格: 2,376円 ● 最近読んだお勧め本の時間がないから簡略感想シリーズその二 環境問題というものが技術…

弘田陽介『近代の擬態/擬態の近代』

近代の擬態/擬態の近代―カントというテクスト・身体・人間作者: 弘田陽介出版社/メーカー: 東京大学出版会発売日: 2007/01メディア: 単行本 クリック: 14回この商品を含むブログ (6件) を見る ● 最近読んだお勧め本の時間がないから簡略感想シリーズその一 …

「反証されていない」というステータス

先日、イアン・ハッキングの『何が社会的に構成されるのか』を読み、全部読み終わったと思ったらあとがきで部分訳だと知って卒倒しそうになったのですが、それはさておき、僕が個人的にもっとも興味を覚えたのは科学の構成の問題について論じている第三章で…

「間違わない」というステータス

ここしばらく、三日に一回は「ダーウィンって偉大だなあ」とつぶやいている僕ですが、進化論関係の本を読んでていつも気になるのはselectionという言葉の訳語です。詳しくはわかりませんが、かつては「淘汰」っていう訳語が一般的に使われていた気がしますが…

稲葉振一郎『「資本」論』

「資本」論―取引する身体/取引される身体 (ちくま新書)作者: 稲葉振一郎出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2005/09/06メディア: 新書購入: 5人 クリック: 50回この商品を含むブログ (100件) を見る以前から読もう読もうと思っていた稲葉振一郎氏(id:shinich…

宮坂和男『哲学と言語 フッサール現象学と現代の言語哲学』

哲学と言語―フッサール現象学と現代の言語哲学 (広島修道大学学術選書)作者: 宮坂和男出版社/メーカー: ナカニシヤ出版発売日: 2006/12メディア: 単行本 クリック: 15回この商品を含むブログ (4件) を見る大まかに言えば、この本では三つの作業がなされてい…

ジャック・デリダ “Mal d’archive”その2

● 前置き フロイトについて論じたジャック・デリダの“Mal d’archive”について感想を書いた前回(http://d.hatena.ne.jp/voleurknkn/20070213#p1参照)のつづきを書きます。ただその前に簡単な注意喚起。僕は基本的に、読んだ本に実際に書かれていた内容を手…

東浩紀/デリダ/ラカン

どうでもいいことなんですが、東浩紀の「デリダのエクリチュール論とその応用可能性」という文章(http://www.hirokiazuma.com/texts/ecriture.html参照)につけられたブックマークがこの数日で急増しているのはどうしてなんでしょうか?だれか知っている人…

デリダ"Mal d'archive"参考サイト

"Mal d'archive"について検索してみたらいくつか参考になりそうなサイトがヒットしたのでリンクを貼っておきます。 http://www.oedipe.org/fr/actualites/derridafucks レヴィナスとデリダとの関係から語りおこして、来たるべきものとの関係を生み出すものと…

ジャック・デリダ “Mal d’archive”その1

読書感想文を書きます。今回のお題はジャック・デリダの“Mal d’archive”。95年にガリレー社から出版されたこの本は、アーカイブという概念をひとつの軸としてフロイトを論じているものです。まず一読して、技術やメディアの問題に関する自分の興味関心から…

ウィキペディア消滅?

ウィキペディアが資金面で運営に困難を抱えているようです。 http://zen.seesaa.net/article/33407146.html で、元記事はこちら(英文) http://www.mathewingram.com/work/2007/02/10/is-wikipedia-really-in-danger/ 三、四ヶ月で閉鎖か?というショッキン…

哲学者の早すぎる死

こちらのブログ↓で知りました。 http://d.hatena.ne.jp/arenedelanuit/20070201/p1 哲学者のフィリップ・ラクー=ラバルトが亡くなったとのことです。ぜんぜん知らなかったのですが、調べてみると『ル・モンド』の記事がありました。 http://www.lemonde.fr/…

ジャック・ランシエール "Malaise dans l'esthetique"その2

はいはい、宿題のお時間がやって参りました。長くなってしまい残りは次回に回してしまったランシエールの本の感想のつづきです。前回(http://d.hatena.ne.jp/voleurknkn/20070129#p1参照)はカントの批判哲学との関係を見ていくことで、ランシエール特有の…