読書

 ダニエル・ブーニュー『コミュニケーション学講義 メディオロジーから情報社会へ』

ひさしぶりに読書感想文を書きます。題材は、ダニエル・ブーニューの『コミュニケーション学講義』。これは、急激に変化しつつある現代のメディア環境およびコミュニケーション環境に身を置く人間にとって、間違いなく必読の書であります。メディオロジー、…

 おもしろいぞ、松本哉『貧乏人の逆襲 タダで生きる方法』

三日前、高校時代の友人から思わぬメールが届き、本を送りつけたからよろしく」とのこと。その文面によると、まったく脈絡なく送られたその本は二冊あり、一冊はフーコー・コレクションの第四巻「権力・監禁」で、もう一冊は松本哉の『貧乏人の逆襲』だとの…

思考の物質化と度外れなもの―梅棹忠夫『知的生産の技術』

どのような領域に属しているにせよ、すこしでも自分の知性を磨いていきたいと考えている心ある人ならば、まちがいなく読んでいるはずの本、梅棹忠夫の『知的生産の技術』ですが(梅田望夫氏の→http://d.hatena.ne.jp/umedamochio/20080509もこの本を踏まえて…

ベルナール・スティグレール『技術と時間』の書評

フランスの思想家、ベルナール・スティグレールの『技術と時間』の第一巻について書評を書きました。 http://booklog.kinokuniya.co.jp/umatforum/archives/2007/04/la_technique_et_le_temps_1_la.html 宣伝です。

スティグレール『技術と時間1 エピメテウスの過ち』その四

↓以下の三回の続きです。 http://d.hatena.ne.jp/voleurknkn/20070227#p1 http://d.hatena.ne.jp/voleurknkn/20070301#p1 http://d.hatena.ne.jp/voleurknkn/20070307#p1 ● 現在地 全体のイントロダクション 第一部 人間の発明 イントロダクション 第一章 技…

スティグレール『技術と時間1 エピメテウスの過ち』その三

↓以下の二回の続きです。 http://d.hatena.ne.jp/voleurknkn/20070227#p1 http://d.hatena.ne.jp/voleurknkn/20070301#p1 ● 現在地 全体のイントロダクション 第一部 人間の発明 イントロダクション 第一章 技術的進化の諸理論 第二章 テクノロジーと人類学 …

スティグレール『技術と時間1 エピメテウスの過ち』その二

前回(http://d.hatena.ne.jp/voleurknkn/20070227#p1)のつづきです。 ● 第一部第一章 技術進化の諸理論 「技術と時間」というテーマに取り組むその手始めとしての時間のなかの技術という観点から、スティグレールが最初に取り上げるのは、特定の時代におけ…

ベルナール・スティグレール『技術と時間1 エピメテウスの過ち』その一

● 前口上 とある事情があり、ベルナール・スティグレールの『技術と時間』を詳細に読み直す必要が出ました。ということで、『技術と時間』を読みながらそれについてコメントをつけていくことにします。まずは第一巻。まだ邦訳がないので、それなりに情報的価…

山本哲士『場所環境の意志ー地球環境設計へむけて』

場所環境の意志―地球環境設計へむけて作者: 山本哲士出版社/メーカー: 新曜社発売日: 1997/09メディア: 単行本 クリック: 5回この商品を含むブログ (3件) を見る怪著というべきか奇著というべきか。とにかく、独自の用語法を駆使して展開されていく山本氏の…

長崎浩『技術は地球を救えるか』

技術は地球を救えるか 環境問題とテクノロジー [ 長崎浩 ]ジャンル: 本・雑誌・コミック > 科学・医学・技術 > 工学 > 建設工学ショップ: 楽天ブックス価格: 2,376円 ● 最近読んだお勧め本の時間がないから簡略感想シリーズその二 環境問題というものが技術…

弘田陽介『近代の擬態/擬態の近代』

近代の擬態/擬態の近代―カントというテクスト・身体・人間作者: 弘田陽介出版社/メーカー: 東京大学出版会発売日: 2007/01メディア: 単行本 クリック: 14回この商品を含むブログ (6件) を見る ● 最近読んだお勧め本の時間がないから簡略感想シリーズその一 …

稲葉振一郎『「資本」論』

「資本」論―取引する身体/取引される身体 (ちくま新書)作者: 稲葉振一郎出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2005/09/06メディア: 新書購入: 5人 クリック: 50回この商品を含むブログ (100件) を見る以前から読もう読もうと思っていた稲葉振一郎氏(id:shinich…

宮坂和男『哲学と言語 フッサール現象学と現代の言語哲学』

哲学と言語―フッサール現象学と現代の言語哲学 (広島修道大学学術選書)作者: 宮坂和男出版社/メーカー: ナカニシヤ出版発売日: 2006/12メディア: 単行本 クリック: 15回この商品を含むブログ (4件) を見る大まかに言えば、この本では三つの作業がなされてい…

ジャック・デリダ “Mal d’archive”その2

● 前置き フロイトについて論じたジャック・デリダの“Mal d’archive”について感想を書いた前回(http://d.hatena.ne.jp/voleurknkn/20070213#p1参照)のつづきを書きます。ただその前に簡単な注意喚起。僕は基本的に、読んだ本に実際に書かれていた内容を手…

デリダ"Mal d'archive"参考サイト

"Mal d'archive"について検索してみたらいくつか参考になりそうなサイトがヒットしたのでリンクを貼っておきます。 http://www.oedipe.org/fr/actualites/derridafucks レヴィナスとデリダとの関係から語りおこして、来たるべきものとの関係を生み出すものと…

ジャック・デリダ “Mal d’archive”その1

読書感想文を書きます。今回のお題はジャック・デリダの“Mal d’archive”。95年にガリレー社から出版されたこの本は、アーカイブという概念をひとつの軸としてフロイトを論じているものです。まず一読して、技術やメディアの問題に関する自分の興味関心から…

ジャック・ランシエール "Malaise dans l'esthetique"その2

はいはい、宿題のお時間がやって参りました。長くなってしまい残りは次回に回してしまったランシエールの本の感想のつづきです。前回(http://d.hatena.ne.jp/voleurknkn/20070129#p1参照)はカントの批判哲学との関係を見ていくことで、ランシエール特有の…

ジャック・ランシエール "Malaise dans l'esthetique"その1

読書感想文の時間がやって参りました。今日のお題はジャック・ランシエールの"Malaise dans l'esthetique"(アクサン記号は略)。こちらのサイトhttp://site-zero.net/_review/galilee2004/では『美学における居心地の悪さ』と訳されていますが、ここではす…

進化論関連の本

もう以前のことですが、英王立協会で「ニュートンとアインシュタインはどっちの方が偉大か?」というような人気投票がされたことがありました。 http://www.yamaguchi.net/archives/002358.html 上の記事も述べているように、軍配はニュートンに挙がりました…

『ドイツロマン主義における芸術批評の概念』について

修士論文が終わったのでなんか別のものを書こうと思い、ちょっと考えた結果ベンヤミンを選ぶことにしました。修士論文ではそれなりに抑えた文体で書いていたので、今度はもっと好き勝手な文体で書こうと思ったので、だったらベンヤミンかなあと結論付けたのでし…

日本共産党の消滅

金曜日、学校帰りに池袋のジュンク堂に寄って新書を二冊購入したのでした。 佐々木俊尚『グーグル』 筆坂秀世『日本共産党』 梅田望夫の『ウェブ進化論』という本がベストセラーになっていますが、こちらがたぶんに「想い」のこもった挑発的な「未来の書」だ…

読書感想文を書きます。 お題は中野昌宏著『貨幣と精神ー生成する構造の謎』たまたまみつけた http://d.hatena.ne.jp/arg/20060402/1143988779 で、上記の本が出版されたことを知りました。中野氏のサイトは以前何度か覗いたことがあったのですがずっとご無…