麻生太郎と部落差別

麻生太郎はユーモアもあって面白い奴だとは思いますが、ジャーナリストの魚住昭氏が書いた野中広務の伝記『差別と権力』を読んだ者としては、

「野中のような部落出身者を日本の総理にはできないわなあ」

という発言一つで、少なくとも首相としては完全にアウトです。

ネット上で該当箇所をアップしている人がいたので、そこからコピペします。

 二〇〇三年九月二十一日、野中は最後の自民党総務会に臨んだ。議題は党三役人事の承認である。楕円形のテーブルに総裁の小泉や幹事長の山崎拓政調会長麻生太郎ら約三十人が座っていた。
 午前十一時からはじまった総務会は淡々と進み、執行部側から総裁選後の党人事に関する報告が行われた。十一時十五分、会長の掘内光雄が、
「人事権は総裁にありますが、異議はありますか?」
 と発言すると、出席者たちは、
「異議なし!」
 と応じた。堀内の目の前に座っていた野中が、
「総務会長!」
 と甲高い声を上げたのはそのときだった。
 立ち上がった野中は、
「総務会長、この発言は、私の最後の発言と肝に銘じて申し上げます」
 と断って、山崎拓の女性スキャンダルに触れた後で、政調会長の麻生のほうに顔を向けた。
総務大臣に予定されておる麻生政調会長。あなたは大勇会の会合で『野中のような部落出身者を日本の総理にはできないわなあ』とおっしゃった。そのことを、私は大勇会の三人のメンバーに確認しました。君のような人間がわが党の政策をやり、これから大臣ポストについていく。こんなことで人権啓発なんてできようはずがないんだ。私は絶対に許さん!」
 野中の激しい言葉に総務会の空気は凍りついた。麻生は何も答えず、顔を真っ赤にしてうつむいたままだった。」
http://members.jcom.home.ne.jp/u333/ithink040724nonaka%20asou%20sabetu.htm


ウィキペディアによれば麻生氏本人は発言を否定しているようですが、どうでしょうか。

魚住昭氏についてそれほどよく知っているわけではありませんが、実績から言って信頼できそうですし、またこの『差別と権力』という本に関しては、「どうしてこんなものを書いたんだ、俺の子供たちに迷惑がかかる!」ということを涙混じりに誹られたというような記述もあり、妙な肩入れはまったくないかと思われます。

また、少なくとも公的な場所での野中氏の糾弾は間違いなく事実としてあったのでしょうし(この日時に当該の発言があったかどうかはいくらでも裏が取れる)、そしてその糾弾がなされた時と場の重さを考えれば、野中氏がまず間違いのない確証をもっていたも確かでしょう。むろん、野中広務の情報収集能力が自民党内でもトップクラスであったことは言うまでもありません。また、野中氏はすでに引退を決めていたのですから、この糾弾が権力闘争の一環としてなされた「ウソ」とも考えにくい。

こういう理由から、正確な文言はわかりませんが、麻生氏が例の発言を行ったというのは自身による否定にもかかわらず、「きわめてありそうなこと」だと僕は思います。

よって、個人的にはアウトです。