プロパガンダですが何か問題でも?

とても憂鬱になる「ニュース記事」を読みました。「人民網」という中国のメディアの日本語版で、チベット問題の「真実」に対する世界中からの「反響」というものを集めた記事です。

ということで、今日のeyes on tibet
http://www.people.ne.jp/a/d6878e73564b4ead8f114b5a91f3bf76

なかから、いくつかとりわけ人を憂鬱にさせる「反響」を取り出してみます。

ウルグアイのアルベト・マチャードさん

ダライ・ラマ集団がチベットで起こした騒乱で、地元の人々の命が奪われ、罪もない市民が殺害され、店などが焼かれ、医者たちまで襲われた。これは明らかに犯罪である。チベットは中国の領土の一部分である。私は中国政府が騒乱を平定し、チベットの安定を維持するのに払った努力に感心し、暴力事件で傷付いたチベット族漢民族の国民に慰問の意を表す

ウルグアイの方が、わざわざ「チベットは中国の領土の一部分」だと主張してくださっています。

ブラジルのリカルド・サントスさん

3 月14日チベットで発生した暴動事件に対して、私は残念さと憤りを感じた。ダライ・ラマは政治的謀略家でテロリストのような人物で、過激な手段を通じて自分の目的を達成しようとしていると私は見ている。今回の暴動事件の中では、多くの民間人が生命を奪われ、社会の治安も混乱に陥り、非常に悪い影響をもたらした。これらはいずれも、ダライ・ラマ一味が誤った手段で政府と対峙し、チベットの独立を図る邪悪な企みを示している。しかし私は、これらの混乱がまもなく過ぎ去り、中国政府がこれらの問題を適切に処理し、8月のオリンピックも順調に開催できると信じている

こちらはブラジルから、ダライ・ラマをテロリストであると断定してくださっています。

ブラジルのイドアル・カエタノさん

3月14日ラサで起きた暴力事件はダライ・ラマ勢力が中国を分裂させようと指図したものだ。ですから、私は中国政府がこの問題に対して処理するやり方と立場を支持する。チベットは昔から中国の領土の一部だ。これは疑いをはさむ必要はなく、変わることのない事実だ

ふたたびウルグアイから、チベットが中国の領土であることについて「これは疑いをはさむ必要はなく、変わることのない事実だ」と、とても一般の方が使うとは思われない仰々しい言葉遣いで確認してくださっています。

アルジェリアのベン・アミール・エイドさん

ラサで発生した暴動事件は国外の分裂勢力の仕業かもしれない。彼らは北京五輪が近づいているこの時期に、中国の名誉を毀損するつもりだ。中国は適した方法で国家の安全を脅かす暴動事件を解決する権利がある。これは中国の内政問題で、他の国からの干渉は許されない

こちらはアルジェリアから、「分裂勢力」や「内政問題」という香ばしいキーワードを、世界の一市民の声として正当化してくださっています。

もし今日がエイプリルフールなのだとしたら、「面白いけど、さすがにそれはちょっと不謹慎かも」と軽くたしなめておきたいところですが、どうやら上記の記事はブラック・ジョークではないと思われるので、ただただ憂鬱になるより仕方がありません。