voleurknkn2006-03-26


このところ、マザーズオークションっていう不動産会社のCMに美輪明宏が出ています。鮮やかな黄色い髪で。電車のなかにもその宣伝ポスターが貼ってあったのですが、なんか、すごいなあと思ってしまいます。

あんなに人工的に黄色い髪は、もうこれ見よがしに記号です。たしかに人間の生活はあらゆる場面にわたって記号に浸透されているわけですが、しかしそこにはつねにあるさりげなさのようなものは必要になるでしょう。必要とされるさりげなさをともなわない場合、気障だとか野暮だとか成金だとか謗られ、一方で、絶妙のさりげなさをともなえば、粋だとか風流だとか上品だとかとことほがれます。そう言うもんであるはずです。

が、美輪明宏ときたらどうしたものか。さりげなさなど一顧だにしない、満艦飾の記号の祭りです。記号はさりげなく馴染まれるのではなく、ほとんど暴力的な生々しさでもって吠え立てている。これは、むしろ猛獣使いに近いのではないか。獰猛な記号を自由にあそばせる、その曲芸の軽やかさが美輪明宏だといえる気がします。

記号というと、なにか文明の病といったようなニュアンスもあったりしますが、むしろ覆われない記号の生々しさが、人間という存在の野蛮そのものなのだ、と美輪明宏という存在は告げているのでしょう。