為替相場と宇宙的孤独

[時事]為替相場と宇宙的孤独

このところ、株価の急激な暴落と為替の猛烈な円高進行のニュースが流れています。僕もよく知らないのですが、この相場の中でもっとも直接的な影響をこうむっているのは、円安基調に乗っかり為替取引で大儲けしようと目論んでいた素人トレーダーであるようです。

取引業者に「証拠金」というものを供託し、その金額の何倍、何十倍の金額を動かして取引をおこなう(レバレッジというらしいです)というやり方がはやっているようで、「FX主婦」などという言葉もあるらしいです。昼下がりの主婦が、パソコンのスクリーンに向かい合って、米ドルを100万円買ったりして、為替の動きに一喜一憂しているわけです。
今回の相場の大変動ではそういった素人トレーダーたちが大きな(マイナスの)影響をこうむったようで、僕はとしては野卑な野次馬根性を発揮し、「大損こいた人もいるんだろうなあ」と思い関連ブログなどを読んでいたら、あまりに悲惨なブログを発見いたしましたので、ここで皆様に謹んでご報告させていただきたいと思います。


ブログのタイトルはずばり
「三十路で退職!残りの人生全てをFX・円キャリーに1点張り!」
http://enencarry.blog114.fc2.com/
南無・・・。
記事を読む前からすでに涙が出てきます。


上記ブログの開設日は今年の7月25日、まだ一ヶ月も経っていません。このブログ主の方は、妻と2歳の子供を抱えながら、800万円をもとでに為替取引一本で生計を立てていこうと会社を辞めてしまったようです。

最初の二日は自分の投資の損益結果の一覧を記事として載せていたのですが、あまりに損失がかさんでいるようですでに三日目にしてその掲載を自粛。どうやらあまりにセンスと展望に欠けていると思しきその投資内容に対して、ほどなくしてコメント欄には「就職しろ」、「おまえは向いてない」、「経済を一から勉強しなおせ」といったお叱りの言葉が散見されるようになり、他方で、「まだいける!」、「ここは攻めの姿勢だ」という、明らかにブログ主を破滅へと誘い出そうとする悪魔の囁きも書き込まれるという有様。当のブログ主はというと、「もう少し我慢していれば娘に服を買ってあげられたのに!」と、おそらくはこういう世界では禁物であると思われる「タラレバ」を繰り返すことで、ほとんど約束されているかとさえ思われる終局への前フリに余念がないといった次第。

最後の記事は先週の日曜付けで、「さて、月曜は?」と題されている。いうまでもなくその月曜以後、相場は大荒れに荒れて死屍累々、JRの人身事故が増えているとかいないとかと囁き交わされているような状況であります。最初の記事からこの先週の記事までおよそ半月のあまりにはかない冒険談。それに巻き込まれた妻と幼い子供の存在が、残酷な想像力を刺激してやみません。基本的にほぼ毎日更新があったにもかかわらず、それ以降はまったくもって音沙汰なし。コメント欄にはブログ主を案じる書き込みがすこしずつ増えているのですが、スプートニク号に乗せられた宇宙犬ライカのように、そのまま宇宙空間の塵へと消え行くような趣きがあります。

まったくもって宇宙的孤独であります。

ところで、ライカ犬についてたったいま検索してみたところ次のような興味深い文章をみつけたので、こちらの方も同様に謹んでご報告させていただきます。
http://be-kamakura.jugem.jp/?eid=85