化粧

● 化粧

鷲田清一「顔の現象学』 三章 「ほんとうの顔?」
ナチュラルメイク。非日常としての化粧と日常としての化粧の相違。ここにはおそらくまなざしとの接し方のおける社会的編成の少なくとも二つのタイプを見出せるのでは。さらには素顔という幻想。
このことはまた、社会のおける相互作用の在り方、さらにはジェンダー編成ともかかわってくるだろう。
高橋徹『意味の歴史社会学』 三章
相互作用のゼマンティクが、パブリックなものから個人に焦点が当たるものへと移行するのと同時に社交性の爛熟の袋小路へと入り込んでいく。しかしこの時点では、個人性の焦点のあたり方においては、ジェンダー格差は大きいだろう。貴婦人という幻想。
・・・ナチュラルメイクというジャンルは、一種のジェンダー解除とともに女性の社会進出が活発になることによって女性の個性という領域が前景化していくことと軌を一にするのでは?

● 改名
A・L・ストラウス 『鏡と仮面』 一章 「言語とアイデンティティー」
改名しようとすること。与えられた名前の無条件的規定性と、みずからの輪郭を自分自身で作ろうとする改名の欲望。
フロイト 「神経症者の家族小説(ファミリーロマンス)」
子供の改名の夢想は、フロイトが述べるファミリーロマンスと関連している。自分の本当の父がどこか別のところにいる、という夢想は、自分の存在の正当化を「本当の父」の地点に空想するのに対し、改名の夢想は自分の正当化を自分の本当の名前の地点に空想する。