幻想

気温と湿度が高いので頭がぼんやりするソゾッロに前頭葉だけで歩く中学校脇ソフトボールにいそしむ女子中学生たちの歌声あの合唱はどこに由来するのだろう過疎それともアルカイックな機嫌があるのだろうかそしてまた観念の法へ傷跡が残らない思考抽象的な忘却と軌を一にするこれもまた散歩だろう地面から少し浮いて大地の鼓動から隔てられその全体がおそらくまなざしの牢獄でみてると信じながら実はみられてる遠くの人形が闇に浮かんで光の乱反射のただ中で不安そうに眼を伏せてそれから周囲をうかがいまた自分の名前さらに自分の両親家系図文化的な脈絡それらの物語を懸命に思い出そうとして鹿もそれらがことごとく失敗するものだから余り物不安に耐えかねてねつ造するのだつまり物語が生まれるそこにはどのようなプロットが生み出されるのかありきたりの騎手流離単直線的な建国神話天皇ヘーカの一等に身を連ねるかさすらいの孤児を先勝するかくも書き格差化や住家それとも宇宙の地理かさまざまなイメージが呼び集められるしかしいずれにせよその形象は鏡の表面のごとく痕跡の残らない風が吹き抜ける空虚