はじめます

素朴な疑問。目の見えない人はどうやってワープロを使っているんでしょう。ということで、目をつぶったまま日記を書いてみることにします。書き手のぼくが支配することができるのは、まずは音の連なり、そこにワープロの変換機能が、得体の知れぬ道筋を付けていくと思われる。このひとつの機械的作業には、キーボードのうちそん時という人為的ミスがいくらかの変数を持ち込むのでしょう。とはいいながら、この場合、よくよく考えてみれば人為的と機械的の区別は、はっきりとは定められなさそうです。極端に言えば、言語そのものだってその反復可能性という点において、機械といえるかもしれない、ともさらに思いました。まあそんなことはいいです。とにかく、ぼくはこの日記を借りに亡者の日記と名付けてみます。これはどのように変換されたでしょう。亡者というのは目が見えない人という意味です。すぐに連想を飛ばす人もいると思いますが、これはジャック・デリダの本の名前からの借用です。ぼくは字を打っています。音の流れを支配しているつもりです。しかしこうしてまぶたを閉じて指を動かすその時間の中で、ワープロさんは何ごとかをしでかして、ぼくの頭の中の音の連なりをいくばくかはどこかへ運び去ってしまうでしょう。そうしてそうして底意生じたいくらかのすれ違いには、はてなさんがハイパー陸で奇妙な交通運動を開始してくれるのだと思っています。そんなこんなのこもごものすえになにが起こっていくのかはわかりませんが、とにかくかき終わって両目を開けて、そうしてから破綻に読むだけ、ということで、それほど難しいこととは思われません。まあともかく、目の見えない人がどのようにワープロを使っているのか知っている人がいたら教えてください。